陰部にブツブツができたら性器ヘルペスかも?症状を解説します
2019年10月03日
陰部のブツブツは性器ヘルペスを発症している可能性が高く、思い当たる行動や違和感がある場合にはパートナーと揃って専門の医療機関の診療を受診すべきです。性器ヘルペスは、原則的に単純ヘルペスウイルス2型に感染や再感染することが原因で発症しますが、感染から2日~10日程度の潜伏期間を経て陰部にブツブツとした水疱症状が発症します。性器ヘルペスは性別だけでなく、初感染時と再感染時で大きく症状が異なることがあり、初感染時でも非初感染初発と急性初発型では症状が大きく異なります。急性初発型は、陰部の水疱や発赤などの一般的な症状に加えて、発熱や神経痛及び関節の痛みなどを発症する患者も全体の20%~30%存在し、極めて稀に三叉神経痛や無菌性骨髄膜炎を発症するだけでなく慢性再発型に移行する病態です。無菌性骨髄膜炎は、高い発熱と強い痛みを伴う頭痛及び激しい嘔吐の3主徴を発症し、一般的には1週間程度で治癒する神経系のウイルス感染症です。
男性は、潜伏期間を経て陰茎に小さな水泡が発症した3日~5日後に水泡が破れて潰瘍が形成されますが、潰瘍は他の有害な菌が侵入するリスクが高く、粘膜下に炎症患部が拡大してしまうことがある性行為感染症です。男性は女性に比べて発症初期の自覚症状があることから、比較的早期発見早期治療が可能であり、外部生殖器官の病変だけで済むことが多いのが特徴です。性器ヘルペスは、適切な治療を怠ると尿道に侵入するとともに尿道炎を発症させ、さらにウイルスが上行感染を続けると膀胱炎や精巣上体炎及び精巣炎を発症してしまい、男性型不妊症になることもあります。
女性は、潜伏期間を経て外陰部の掻痒感や不快感が疼痛に変化するとともに、膀胱炎に起因する排尿困難や鼠径リンパ節の腫れに起因する歩行困難などを発症することがあります。女性患者のほとんどが無症候性なので、発症に気付かずに重症化することも少なくありません。性器ヘルペスは、適切な治療が遅れると膣口から上行感染して子宮頸管炎を発症しますが、兆候が生理不順に似ていることから感染に気付かない患者がほとんどです。さらに重症化すると、生殖器官の疾患である卵管炎や卵巣炎の発症を経て、肝臓周囲炎や腹膜炎などの重篤な疾患を併発します。卵管は痛感神経がほとんどない生殖器官なので、炎症が発症していても気付くことがなく、発症を自覚する頃には重症化し、卵管閉塞や卵管狭窄を引き起こして女性型不妊症を発症する器官です。